【キシリトールについて】
キシリトールとは
(図1)キシリトールの原料になる白樺
キシリトールは、ソルビトールやマルチトールと同じ糖アルコールという甘味炭水化物の仲間です。
自然界では多くの果実や野菜に含まれています。
例えば、イチゴには乾燥重量100g中に約300mgのキシリトールが含まれています。
また、人の肝臓でも、1日当たり約15gのキシリトールが作られています。
私達がガムやタブレットなどのお菓子の形で口にするキシリトールは、
白樺(図1)や樫などの木から抽出されるキシランヘミセルロースを原料にして、
工業的に作られています(図2)。
自然界にあるキシリトールも、工業的に作られたものも、
同じ分子式(C5H12O5)(図3)ですので、両者に差はありません。
キシリトールは、日本では平成9年(1997年)4月に食品添加物として認可されました。
しかし、それ以前から10年以上、輸液に含まれる糖質として使用されています。
また、米国では、「1日にどれだけ摂取しても良い食品」として扱われています。
砂糖と同じ甘さを持つキシリトール
キシリトールは、糖アルコールの中で甘く、砂糖と同じ甘味度を持っています。
キシリトールは溶ける時に熱を奪うので、口に含むとスーッとした冷たい感覚があります。
そのため、ミントの味によく合うことから、キシリトールを使ったお菓子には、ミント味が多く見られます。
また、果物の味をより新鮮にする働きや、苦味を消す働きもあります。
さらに、冷却作用があることから、布地に応用した夏用の肌着や寝具、そして化粧品も市場に出ています。
むし歯の原因にならない甘味料
キシリトールを始めとする糖アルコールは、むし歯の原因になりません。
糖アルコールからは、口の中で歯を溶かすほどの酸は作られないからです。
ソルビトールやマルチトールからは、少量ですが歯垢(プラーク)中で酸ができますが、
キシリトールからは酸はできません。また、キシリトールは甘みが強いので、その甘味により唾液も出やすくなります。
酸を作らないこと、そして、唾液の分泌を刺激して酸を中和することが、
キシリトールがむし歯の原因にならない理由です。
むし歯を防ぐ甘味料
キシリトールには、「むし歯の発生や進行を防ぐ」という、他の糖アルコールにはない特徴的な作用があります。
キシリトールをガムやタブレットの形で一定期間以上口の中に入れると、
むし歯の原因となる歯垢が付きにくくなるだけでなく、歯の再石灰化を促し、歯を固くします。
さらに、キシリトールには、むし歯の大きな原因であるミュータンス菌の活動を弱める働きも持っています。
このような働きは、他の甘味料には見られない、キシリトールだけの作用です。
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【執筆・監修者】
森山 貴
森山デンタルオフィス新松戸 おとなこども歯科・矯正歯科 院長
東北大学歯学部 卒業
日本顎咬合学会 認定医
国際口腔インプラント学会 認定医